これは
ある姉弟の物語・・・
ニコルの森で1人の
魔法使いに
出会ったアンとナナが、
ハミガキの大切さを
知るお話です。
おかしが大好きなアンはいつものようにママにおかしをおねだりました。
すると、「食べた後にハミガキをするって約束したらあげるね。」
とママは言いました。
「えー!!アン、ハミガキ大嫌い!」
「じゃあおかしはあげられないわ。」「やだやだ!おかしほしいよー!」
「ハミガキしない子にはあげられません。」
「もうママなんて大嫌い!!ナナいくよ!」
そう言ってアンは弟のナナを連れておうちを飛び出してしまいました。
どうやら2人は道に迷って、知らないところまで来てしまったようです。
「おねえちゃん、ボク怖いよ。。」
「もう!だらしないわね!」
そうしてしばらく歩いていると、2人は不思議な森の入口まで来ました。
「おねえちゃん!この奥から楽しそうな声がきこえるよ!」
「ホントだ!ナナ!行ってみましょう!」
楽しそうな声につられて、2人は森の中に入っていきました。
森に入ると、アンとナナは歯の形をした魔法使いニコルに出会いました。
「ぼくはニコルの森に住んでいる魔法使いだよ!人間のお客さんはめずらしいなー。
今日はどうしてここに来たの?」
「わたしはアン。こっちは弟のナナ。わたしたちお母さんとケンカをして家を飛び出してきたの!そしたら道に迷っちゃったんだけど、この森からなんだか楽しそうな声が聞こえたから入って来たの。」
アンがそう言うと、ナナも
「ニコルはどんな魔法を使うの??」不思議そうに聞きました。
「それはね~。2人ともちょっとお口の中を見せてみて!」
2人はニコルに言われたとおりに口を大きく開けました。
するとニコルは、
「ふむふむ。アンはハミガキが嫌いでしょ?
あと、ナナは口をポカンとあけるクセがあるよね?」と言いました。
「えっ!?なんでわかったの?」
アンとナナはびっくりしてしまいました。なんとニコルは2人の口の中を見ただけで、アンがハミガキを嫌いなことと、ナナの口をポカンとあけるクセが分かってしまったのです。
「ぼくは歯の魔法使いだからね!口の中を見ればどうなっているのかが、すぐに分かるんだよ。」
「すごーい!」
「ハミガキをしないと『むし歯』といって、歯がとても痛くなっちゃうんだ。
あと、口をポカンとあけていると、歯並びが悪くなったり
むし歯になることもあるんだよ!」
「ボク、歯並びを悪くしたくないし、むし歯にもなりたくない!」
「わたしも歯が痛くなるのイヤ!!」
アンとナナは力いっぱい言いました。
するとニコルは、「そうだよね!痛くなるのはイヤだよね。
じゃあボクが2人に『えがおの魔法』を教えてあげるね!」と言います。
「えがおの魔法??」
2人は首をかしげました。
「他のどうぶつたちにも教えてあげたら、みんなとても楽しそうにやってるよ!」
「ホントだ!なんか楽しそうだね!」
「わたしたちにもえがおの魔法を教えてニコル!」
「それじゃあ、まずはこれを2人にプレゼントするよ!」
ニコルはアンとナナに歯ブラシをプレゼントしました。
「わぁ!赤い歯ブラシかわいいー!」
「ボクのは青でカッコいい!」
ニコルの歯ブラシのプレゼントに2人は大喜びです。
「2人ともボクがやることをマネしてね!」
「うん!」
「ニッコリシャカシャカピカピカツルン♪」
2人はニコルの言葉と動きをマネしました。
「ニッコリシャカシャカピカピカツルン♪」
「えっ!?ハミガキってこんなに楽しくて歯がツルツルになるの?」
「すごいピカピカしているよ!」
2人はニコルの魔法におどろきを隠せません。
「そうだよ!ハミガキはとっても楽しくて、
歯がツルツルピカピカになるんだ!」
「わたしもう1回やる!」
「ボクも!」
「つぎはベロのトレーニングをやってみよう!」
「ベロってトレーニングをするものなの?」
アンが不思議そうにたずねます。
「そう!ベロをトレーニングすれば、
ナナの口をポカンとあけるクセも治せるんだよ!」
「ホント!?ボクやってみたい!」
ナナは嬉しそうに言いました。
「今からボクの言う言葉をマネしてね!
あ・い・う・べ。口を大きくあけて言うのがポイントだよ!」
「あ・い・う・べ」
2人はニコルのマネをして口を大きくあけて言いました。
「これ楽しいね!」「うん!楽しい!」
「これは『あいうべ体操』といって、
ベロをトレーニングする方法なんだよ。」
「これでボクの口をあけるクセは治ったかな~?」
「これは1回やっただけでは治らないんだ。おうちで毎日やることで口をあけるクセが治るようになるんだよ!」
「じゃあボクおうちに帰っても毎日やるよ!」
ベロのトレーニングを終えると、ニコルはこう言いました。
「さっきえがおの魔法で『ハミガキ』したのは覚えてる?」
「もちろん!」「わたしはもうハミガキだいすきだもんね!」
2人は自信マンマンに答えました。
「せっかくハミガキで歯をツルツルピカピカにしても、
あま~いお菓子を食べすぎるとむし歯になるんだ。」
「えっ!?そうなの?」
「わたし甘いものだーいすき!でもむし歯になるのはイヤ!」
「でもたくさん食べなければむし歯になりにくいし、食べた後もハミガキをしっかりとすればいいんだよ!」
「そっか!じゃあ甘いものは食べすぎないようにして、食べたらハミガキをすれば、ツルツルピカピカだね!」
「あとはゆっくりとよくかんで食べることで、
お口の中はよくなっていくんだよ。」
「そうなんだー。ボクあまりかまずに早く食べ終えていたかも。」
「それなら、これからはわたしがしっかりと見てあげるね!」
こうして2人は、ニコルからお口についていろいろ教えてもらいました。
それから3人は森の奥へと進んで行くと、どうぶつの親子に会いました。
「あっ。」「どうしたのお姉ちゃん?」
何かを思い出したようなアンにナナがききました。
「ママがいつもハミガキしなさいって言ってたのは、
わたしがむし歯にならないように?」
「そうだね。きっとアンのママはアンのことが大事だから、
むし歯になってほしくないんだよ。」
「わたしおうちに帰って、ハミガキがだいすきになったよってママに言いたい!」
「おうちに帰ろう!」
アンとナナは口をそろえて言いました。
「じゃあ私たちおうちに帰るね!」
「いろいろと教えてくれてありがとうニコル!」
「どういたしまして。アンとナナももう立派な魔法使いだよ!
これからも魔法を使って、お口の中をよくしていこうね!」
「うん!また遊びに来るから次も魔法を教えてね!」
2人はまたニコルの森に来ることを約束して、
森をあとにしたのでした。