保険の適用される矯正治療について紹介
矯正治療は見た目の改善を目的としており、審美的な観点から保険が適応されません。そのためほとんどの矯正治療は自費診療です。
保険が適用される矯正は、現在59の先天性疾患と顎変形症、前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするもの)と定められており、非常に限定的です。この記事では保険が適用される矯正治療について解説します。
保険が適用される矯正治療とは?
矯正治療は出っ歯の改善や、歯並びを整える見た目が目的とされています。見た目の改善を目的とした矯正治療では保険が適用されません。
ただし、条件によって保険の適用が可能になる症例が決められています。以下の3つは保険適用される主な症例です。
・顎変形症
・唇顎口蓋裂など59の先天性疾患で起こる咬合異常
・前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするもの)
顎変形症(がくへんけいしょう)
顎変形症は上下の顎の大きさや形に異常があり、噛み合わせの異常(不正咬合)や顔が変形する症状で原因不明とされています。
成人の場合顎変形症が原因で不正咬合と診断され、外科手術が必要な症例は保険適用になります。
保険適用の条件は「顎口腔機能診断施設(がくこうくうきのうしんだんしせつ)」に指定されている医療機関での受診が必要です。
唇顎口蓋裂など59の先天性疾患で起こる咬合異常
厚生労働大臣が定める現在59の先天性疾患で起こる咬合異常は、保険の適用で矯正治療が可能です。
唇顎口蓋裂 |
ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む) |
鎖骨頭蓋骨異形症 |
トリーチャ・コリンズ症候群 |
ピエール・ロバン症候群 |
ダウン症候群 |
ラッセル・シルバー症候群 |
ターナー症候群 |
ベックウィズ・ウイーデマン症候群 |
顔面半側萎縮症 |
先天性ミオパチー |
筋ジストロフィー |
脊髄性筋萎縮症 |
顔面半側肥大症 |
エリス・ヴァンクレベルド症候群 |
軟骨形成不全症 |
外胚葉異形成症 |
神経線維腫症 |
基底細胞母斑症候群 |
ヌーナン症候群 |
マルファン症候群 |
プラダー・ウィリー症候群 |
顔面裂 |
大理石骨病 |
色素失調症 |
口腔・顔面・指趾症候群 |
メビウス症候群 |
歌舞伎症候群 |
クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群 |
ウイリアムズ症候群 |
ビンダー症候群 |
スティックラー症候群 |
小舌症 |
頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群、尖頭合指症を含む) |
骨形成不全症 |
フリーマン・シェルドン症候群 |
ルビンスタイン・ティビ症候群 |
染色体欠失症候群 |
ラーセン症候群 |
濃化異骨症 |
6 歯以上の先天性部分(性)無歯症 |
CHARGE症候群 |
マーシャル症候群 |
成長ホルモン分泌不全性低身長症 |
ポリエックス症候群 |
リング 18 症候群 |
リンパ管腫 |
全前脳胞症 |
クラインフェルター症候群 |
偽性低アルドステロン症 |
ソトス症候群 |
グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症) |
繊維性骨異形成症 |
スタージ・ウェーバー症候群 |
ケルビズム |
偽性副甲状腺機能低下症 |
Ekman-Westborg-Julin症候群 |
染色体重複症候群 |
その他顎・口腔の先天異常 |
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その他顎・口腔の先天異常とは、顎・口腔の奇形、変形を伴う先天性疾患です。その疾患が原因で咬合異常が認められ、矯正の必要性が認められる場合に、都度、評議のうえ歯科矯正の対象とすることができます。
※出典:公益社団法人日本矯正歯科学会(2021-03-30)
前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因した咬合異常(埋伏歯開窓術を必要とするもの)
前歯の永久歯が3本以上生えてこないことにより、噛み合わせに異常があり、歯肉の切開手術が必要な場合は保険が適用されます。
「歯科矯正診断料算定の指定医療機関」で指定されている機関で保険適用されるので注意が必要です。
<<まとめ>>
矯正に保険が適用される事例について紹介しました。顎変形症や先天性疾患、前歯の永久歯が3歯以上生えなくて手術が必要な場合は、保険が適用されます。
保険が適用される歯科医院は限られているので、事前に調べる必要があります。歯並びや噛み合わせにお悩みの方は、歯科医院での相談を受けることをおすすめします。
浦和駅 東口北口 徒歩1分
医療法人社団 幸誠会 たぼ歯科医院 理事長 多保 学