矯正治療をお考えの皆さんへ
矯正治療は、歯並びの見た目を改善するために行うと思われがちですが、見た目のほかに機能の改善も目的としています。歯には食べ物を噛み切ったり、すりつぶしたりする機能がありますが、歯並びや噛み合わせが乱れることでその機能を損ね、咀嚼不良が起こります。
また、歯と歯の間にすき間ができて食べ物が挟まりやすくなると虫歯になりやすくなることもあります。このように、乱れた歯並びや噛み合わせは見た目だけでなく、機能にも悪影響がおよぶため、矯正治療によって改善する必要があるのです。
このような歯並びは矯正治療が必要です
ご自身の歯並びが下記の8つの画像のいずれかに当てはまる方は、矯正治療が必要です。まずは一度たぼ歯科医院までご相談にいらしてください。
叢生(そうせい) |
上顎前突 |
開咬 |
下顎前突 |
空隙歯列 |
交叉咬合 |
過蓋咬合 |
顎関節症 |
口ゴボ(くちゴボ)の矯正治療
口ゴボとは、横顔から見たときに口元が盛り上がり、上下の唇が鼻と同じ位置かそれよりも前に出ている状態のことをいいます。 日本人を含めたアジア人に多く、原因となる不正咬合を治療することで、すっきりとした印象の顔貌を獲得できます。
口ゴボの主因は出っ歯で、前歯が正しい位置・角度で生えていなかったり、指しゃぶりや舌で前歯を押す癖、骨格的なズレなどによる不正咬合が背景にあります。出っ歯が原因で口が開きやすく、口腔内が乾燥し、虫歯や歯周病のリスクも高まります。
口ゴボの治療は出っ歯の矯正となりますが、指しゃぶりが原因で歯並びが狭くなっている場合は、歯並びを拡大することで非抜歯治療も可能です。それ以外の場合は抜歯が必要になることもあります。症状に応じて、マウスピース矯正(インビザライン)も有効です。
- 矯正をすることのメリットの例
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- ブラッシングしやすくなり、虫歯や歯周病になりにくくなる
- しっかり咀嚼できるようになり、消化吸収がよくなる
- 見た目にコンプレックスを抱えている方は、コンプレックスが解消される
- 正しい発音ができるようになる
年齢による矯正治療の違い
矯正治療は、子どもと大人ではじめる時期や治療法が異なります。たぼ歯科医院では、顎が成長過程にある11歳未満を小児矯正、11歳以上を成人矯正と位置づけています。
よく、矯正治療に対して「子どものときに行うもの」というイメージをお持ちの方がいますが、矯正治療は大人になってからでも健康な歯と歯ぐきがあれば、年齢に関係なくどなたでも受けられます。逆に、大人になってからのほうが治療に対するモチベーションが高く、スムーズに治療が運びやすいというメリットもあります。
子どものときは、成長を利用して歯を動かせるため治療期間は短縮しやすいですが、大人になってからでも矯正治療は可能ですので、お子さんの歯並びでお悩みの方も、ご自身の歯並びを治したい方も一度ご相談ください。
小児矯正
小児矯正治療では、成人矯正のように歯を動かすだけでないのが特徴です。成長を利用して顎の骨を拡大・誘導させて、骨格の調整も行います。
治療準備
成人矯正と同様に、虫歯や歯周病などがある場合には先に治療を行います。
早期治療(第1期)
永久歯が生えそろう前であれば、歯の土台である顎の骨の正しい成長を促しながら矯正治療を進めていきます。治療開始時期は一般的に7~10歳ころ。受け口の場合は6歳前後から始める場合もあります。月1回程度の通院を1~5年程度行います。
- 経過観察期間
- 永久歯が生えそろっていない場合や一部の症状によっては、経過観察期間を設けます。保定装置を装着して、一定期間経過を観察します。通院回数、期間は症状によって異なりますが、3ヶ月に1度のペースを目安に通院いただきます。
精密検査
早期治療が終了したら動的治療へ移行する前に、レントゲン検査や診察など、歯並びや顎の状態を細かくチェックします。検査のタイミングは、上顎の成長がほぼ止まる11歳です。
動的治療(第2期)
歯並びの仕上げ治療を行います。
※第1期治療とあわせて二段階で矯正治療を行うことで抜歯や大がかりな外科処置の可能性が減らすことができ、仕上がりもキレイになります。
矯正の目的
歯並びが悪くても、見た目が気にならなければ、生活に支障はないとお考えの方がいらっしゃいます。確かに生活そのものには支障がないように見えるかもしれません。しかし、歯の噛み合わせが悪いことでブラッシングの行き届かない箇所ができてしまい、虫歯や歯周病になるリスクが格段に高くなってしまうのです。口腔内の環境が整えられていると、口臭のトラブルや、若くして歯を失うといったことも避けられ、患者さんご自身の生活の質(Quality of Life)が向上します。
混合歯列期-1
乳歯と永久歯が混合している時期を「混合歯列期」と言います。個人差は多少ありますが、概ね6~11歳くらいを指します。この時期は、歯の成長と共に、顎も成長します。将来に向けて正しい噛み合わせの土台を作る、とても大切な時期だとお考えください。
正しい歯並びを作るために、受け口気味の子は上顎を前方に引っ張る「前方成長促進」を、出っ歯が気になる子は上顎を後方へ引っ張る「前方成長抑制」の治療を行っていく必要があります。
これらの治療は、成長途中である混合歯列期に行うのが理想的です。もしも上顎の成長期が終わってから治療をしようと考えた場合、骨の前後の位置を修正するためには手術をする必要があります。また、下顎の成長は18~20歳まで続くため、全体のバランスを見ながら手術するためには、下顎の成長が止まるまで手術を待たなければなりません。そのため、治療ができない時期も存在しています。
乳幼児の歯並びには隙間が必要
乳歯の頃によく受ける相談の中に「すきっ歯」に対する不安があります。歯と歯の間に隙間があると気になると思いますが、実はこの隙間は「霊長空隙(れいちょうくうげき)」といって生え変わりのために必要な空間なのです。永久歯は乳歯に比べると大きいため、この隙間がないと生え変わった際にきれいに並ばなくなってしまうことがあります。実は、乳歯の頃に歯並びのきれいなお子さんこそ、顎の成長の経過観察が必要です。
混合歯列期-2
大人の歯に生え変わるタイミングで前歯4本をチェック
お子さんが6~7歳の頃、前歯が抜けて大人の歯が生え始めます。乱れのない歯並びにするためにも、親御さんにはこの時に前歯4本の状態をしっかり見ていただきたいです。
大人の歯の上前歯4本と下の前歯4本は、子どもの歯よりも大きく、前歯4本の幅径の合計は乳歯より永久歯の方が大きくなります。乳歯列の歯と歯の間に隙間が空いているのは大人の歯が生えてきた時に子どもの歯の大きさとの差を埋めるためで、隙間がなかったり、隙間が足りなかったりして前歯の歯並びが悪くなってしまうと、それより後に生えてくる大人の歯は前に押して生えてくるため歯並びが一層乱れてしまう危険性があるのです。
このリスクを未然に防ぐため、歯並びのアーチを側方に拡大して隙間を作る「歯列弓の側方拡大」という措置を取ります。これで歯が正しく生えてくるようになります。この拡大様式には「緩徐拡大法」と「急速拡大法」の2種類があり、前者は歯に力を加えて頬側へ傾斜させて歯並びそのものを横に広げていき、後者は骨に力を加えて歯の土台となっている歯槽骨を広げていきます。
緩徐拡大をするための装置には自分では取り外しできない着けっぱなしの「固定式装置」と自分で取り外しが可能な「可撤式装置」があります。歯並びの状態や年齢、ライフスタイル、予算などを鑑みて決めていきましょう。
混合歯列期-3
上顎の成長は神経型の曲線、下顎の成長は一般型の曲線になります。
- 上顎は4~5歳で8割方完成し、10~12歳で成長が止まる
- 下顎は0~3歳と13~20歳頃に一気に成長する時期がきて、18歳くらいで成長が止まる
つまり、上顎と下顎の成長時期が違い、それぞれの時期にあわせて顎の成長をみることで、歯に対する顎の大きさが不適切で歯並びが悪くなったり、上下の顎のバランスが乱れたりすることを防ぐことができるのです。例えば、上顎前突(じょうがくぜんとつ=出っ歯)の子は、上顎に問題があるので、成長が止まる前の10~12歳くらいまでに治療するのが望ましいでしょう。
混合歯列期-4
受け口や出っ歯などの歯並びの矯正を始めるのは、早ければ早いほどいいとされています。歯並びが悪くなる原因は、歯の位置関係や向き、顎の大きさや位置関係にあるからです。先ほども記述しましたが、出っ歯の場合は、上顎に問題があるので、上顎の成長が止まる10歳くらいまでに治療するのがいいでしょう。
では、受け口の場合はどうでしょうか?受け口は、下顎が上顎よりも前にきている状態のことを指します。成長期に受け口であった場合、見た目が悪いのはもちろん、下顎の成長を助長してしまったり、口の中が乾きやすいことで、細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病になりやすかったり、風邪などの菌やウィルスが体内に入りやすくなることで、免疫力が下がったりと、いいことはありません。また、食べ物が噛みにくくなるので、消化が悪いだけでなく、奥歯でしかものが噛めないので、奥歯が先にダメになりやすいということもあります。
将来的に健康な生活を送るためにも顎の成長が止まる前に、早急に治療することが必要なのです。
混合歯列期-5
すきっ歯は正常です
前歯が生え変わる6歳頃、大人の歯がすきっ歯で生えてきてしまったと悩まれる親御さんが多くいらっしゃいます。前歯は目立つため気になってしまうかもしれませんが、歯科界では「みにくいアヒルの子の時期(Ugly Duckling stage)」と呼ばれており、多くの方が経験される一時的な症状ですので慌てる必要はありません。隣の歯が大人の歯に生え変わるときに、前歯を押しながら生えてくるので自然と隙間が閉じていきます。
子どもと大人の矯正の違い
矯正は大人の歯が生えそろった「永久歯列期」からはじめても遅すぎることはありません。しかし、乳歯と永久歯が一緒に生えている「混合歯列期」と「永久歯列期」では、矯正治療の方法に違いがあります。
「永久歯列期」の治療法としては、歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を付け、そこへワイヤーを通し、歯を少しずつ移動させていく「マルチブラケット法」が一般的です。このほかに、歯の裏側に装置を付ける「マルチリンガル(舌側)ブラケット法」や、透明な素材でつくられた「マウスピース矯正法」など、目立たない矯正装置などもあります。
「永久歯列期」では、永久歯を“きれいに並べる”矯正治療をすすめていきます。全て永久歯に生え変わっているということは、上下の顎の成長もとまっています。つまり、矯正装置を使って歯を横にずらすことはできても、前後の位置は簡単に改善できなくなるということです。抜歯や顎の骨を切るなどの外科的処置を行う場合もあり、患者さんの身体的負担が大きなものになってしまいます。負担を減らすためにも、6~10歳の「混合歯列期」での矯正をおすすめしています。顎の成長を利用し、骨格的な前後の歯列の乱れが治療できるので、抜歯などをせずに歯並びを改善することができるのです。
成人矯正
たぼ歯科医院では、一般的に用いられる固定式矯正装置の「マルチブラケット」や「舌側装置」で、およそ2~3年にわたり治療を行います。
治療準備
矯正治療の前に、検査で虫歯や歯周病が見つかった場合や抜歯が必要な場合は先に治療・処置を行います。なぜなら虫歯や歯周病がある状態で治療に入ってしまうと、症状を悪化させてしまう可能性があるからです。また、歯のクリーニング(PMTC)や矯正装置を付けた状態でのブラッシング方法などもあらかじめご説明します。
動的治療(第2期)
矯正装置をつけて、理想的な歯並びの位置に歯を動かしていきます。期間は症状によって異なりますが月1回の通院で2~3年が目安です。
保定観察期間
歯並びが理想的な位置となってもまだ安心できません。なぜなら、歯は元の位置に戻ろうとする性質がはたらくからです。きれいな歯並びの位置で定着させるには、保定装置をつけて矯正治療と同等の期間を置く必要があります。
そのため動的治療期間が終わった後、矯正装置を外し「バイオスター」「プレフィニッシャー」といった可撤式または固定式の保定装置に切り替えます。この間、3ヶ月に1度のペースで2年程度の通院が必要になります。
メンテナンス
保定観察期間が終了したら、治療完了です。当院では3ヶ月に1回、通院による歯のクリーニングと歯磨きチェックを行うことを推奨しています。
成人矯正のススメ
- 歯並びが乱れていることによるデメリット
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- 歯みがきが十分に行えないため、虫歯、歯周病になりやすい
- 審美的な問題、機能的障害、発音障害を招く
- 一部の歯に負担がかかってしまうため歯の損傷を引き起こす恐れがある
「大人になってからの矯正治療は大変だ」と思っていませんか?子どもの矯正治療は歯の土台となる顎の骨の成長を利用した矯正が可能なので抜歯の必要がない場合もありますが、治療期間が「第一期」と「第二期」に分かれるので治療期間が長くなってしまいます。
大人の場合、顎の骨は出来上がっているので、抜歯して歯を動かすスペースを作って歯を並べ替えたり、前歯を後ろに下げたりして負担が大きい点もありますが、治療期間が二期に分かれない分、短期集中的に治療を行うことができるという大きなメリットがあります。
また、大人は「キレイな口元にしたい!」「どうしても治したい!」という強い意志と希望をもって、自分から治療を始めるケースがほとんどです。ですので、しっかり通院する、歯みがきする、装置をきちんとつけるという基本を守ってもらえます。これは矯正治療を進めていく上での大きなポイントです。患者と先生がしっかりとタッグを組んでゴールに向かうことができるので治療がスムーズに行えるという点も大人の矯正のいい点だと思います。
たぼ歯科医院の矯正治療
取り扱い装置紹介
メタルブラケット
歯の表面に金属製のブラケットを付け、ワイヤーで歯を正しい位置へ導きます。
メリット |
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デメリット |
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クリアブラケット
透明なプラスチック製のブラケットを付け、ワイヤーで歯を理想的な位置へ動かします。
メリット |
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デメリット |
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セラミックブラケット
セラミック製のブラケットを付け、ワイヤーを通して歯を動かしていきます。
メリット |
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デメリット |
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マウスピース矯正
透明なマウスピース型の装置を付け、一定期間ごとに交換しながら歯を移動させていきます。
メリット |
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デメリット |
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矯正治療の流れ
- Step01矯正相談
- 当院では、大学病院から月に数回ほど専門医を呼び、矯正相談および矯正治療を行っています。
- Step02精密検査
- 矯正治療に入る前に、歯の型どり、歯科用CTやレントゲンなどで検査を行い、顎の骨の状態、噛み合わせ、外形とのバランスなどを精査し、矯正の前に必要な治療がないかを確認します。
※症状によっては、キャディアックスによる顎運動検査を行います。
- Step03治療計画のご提案
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矯正装置の種類、期間、流れ、注意点などを含めて、オーダーメイドの治療をご提案します。
専門医と連携し、包括的な治療を行います
歯並びをはじめ、顎の骨や咬み合わせなど口腔内全体のバランスを考慮するため、矯正以外の各分野の専門医と連携して包括的な治療を行います。
- Step04前処置
- Step2で虫歯などが見つかった場合は、前処置で治療・処置を行います。
- Step05矯正期間
- 矯正装置を付けて、歯を理想的なポジションへと移動させていきます。月1回程度、通院していただき、経過を観察します。
- Step06保定期間
- 矯正期間修了後、矯正装置を取り外します。その後、元の位置に戻らないように保定装置を装着し、理想の歯並びを定着させます。