抜歯即時埋入インプラント 保存不可能な歯を抜歯し即日にインプラントを埋入し仮歯まで入れる特殊な方法
術前の状態、治療計画 第1段階 右上抜歯即時埋入インプラント
患者 20代 女性
主訴 紹介医よりインプラントの可能かどうかのセカンドオピニオンにて紹介をうけ来院
診査診断 歯根破折により歯牙の保存が不可能と判断
治療計画 まず第一段階として、急性症状がでている歯牙を抜歯し、歯間乳頭が下がる可能性があったため同時に抜歯即時埋入インプラントを行う。
その後第2段階として6ヶ月治癒を待ち、反対側の抜歯を行い同時に抜歯即時埋入インプラントを行う。
さらに6ヶ月の治癒を待ち、第3段階としてジルコニアアバットメントとオールセラミックを用いて補綴へと移行する
第2段階 左上抜歯即時埋入インプラント
まず右上の歯根破折している歯牙を抜歯し即日にインプラントの埋入を行います。この際に用いたインプラントはノーベルアクティブです。
ノーベルアクティブはアグレッシブなネジヤマ構造を取っており抜歯即時埋入に必要な初期のインプラントの固定が得られ易くまた埋入時に微妙なインプラントの位置の補正を行うことが可能です。
まず歯牙を抜歯しその後、頬側に骨の移植を行い術後にボリュームが減ると予測される部位に厚みを作ります。使用した骨の移植材はBio-ossというものです。
他種骨として知られておりブタより採取され滅菌処理された骨です。
そこを使いBSEなどの報告は一切ありませんので安全な材料です。
アメリカなどの先進国では何十年も前より使用されています。
その後頬側に粘膜の厚みを出すため口蓋より結合組織という歯肉の移植片を採取し頬側に足して、仮歯を調整して手術終了です。
右上の治癒を6ヶ月待ち、左上の歯根破折している歯牙を抜歯し即日にインプラントの埋入を行いました。この際に用いたインプラントもノーベルアクティブを選択しました。
理由は同じです。
術式も前回と同じく抜歯を行いインプラントを即日埋入し、頬側に骨の移植と粘膜の移植術を行い仮歯を調整します。
骨と粘膜の移植により頬側の自然なボリュームが保たれます。
移植をしない場合の欠点としては、頬側のボリュームが足りず綺麗な自然感のある歯肉にならないことや、何十年か後に粘膜が薄いことによりインプラントのネジヤマの黒い部分が見えてしまう可能性があります。
ですので私はルーティンに移植術を行っています。
またこれらをすでにエビデンスとして論文発表されているのでリスクを避けるのであれば移植はした方が良いと考えています。
抜歯即時埋入は非常に限られた条件でなおかつ術式を熟知していないと成功しない手術です。前歯の保存が不可能と診断された方のセカンドオピニオンも当院では受け付けておりますので気軽にご相談下さい。