変色歯の審美修復 (陶材焼き付け鋳造冠修復)
術前状態、治療計画
患者 50代 女性
主訴 前歯部の着色
診断 上顎右側中切歯、上顎右側側切歯、上顎左側中切歯 変色症
治療計画 レントゲン写真にて診査診断を行います。必要に応じて、根管治療を行います。その後前歯部の形を整えて、プロビジョナル(仮歯)に置き換え、歯肉の状態が落ち着いたところで最終的な型取りを行いクラウン(被せ物)をセットをします。
第1段階:診査診断 第2段階:形成、プロビジョナルセット
第1段階としてレントゲン写真を用いて診査診断を行います。
レントゲン写真より、上顎右側中切歯、上顎右側側切歯、上顎左側中切歯は失活歯(神経のない歯)であり、そのために歯が変色したと考えられました。
失活歯では血液成分が歯質の象牙細管という構造に取り込まれることで変色を起こすと言われています。
失活歯は生活歯(神経のある歯)に比べて脆く、変色するためクラウンを被せる治療法が一般的です。
本症例は両隣の歯も失活歯であったため根管治療を行った後、形成してプロビジョナル(仮歯)に置き換えました。
プロビジョナルには①歯肉を押すことで形を整える、②最終的なクラウンの形態、色調、清掃性の指標 等の役割があります。また患者様が最終的なクラウンをイメージしやすいという利点もあります。
第3段階:陶材焼き付け鋳造冠印象、セット
本症例は前歯部症例であり、患者様は審美的で強度のあるものを希望されたため、陶材焼き付け鋳造冠による修復を行いました。
陶材焼き付け鋳造冠は金属の裏打ちにセラミックを焼き付けた審美的で強度のある材質です。
審美領域であるためワックスアップによる試適を行い、できるだけ患者様の要望に沿えるよう形態修正を繰り返します。その後、シェードテイキング(色合わせ)を行います。色調や形態を作り手である技工士さんに的確に伝えるために、口腔内写真撮影は欠かせません。
形態、色調、適合を確認した後に調整を行いセットしました。
治療期間 3ヶ月程度
治療費 セラミックレストレーション3本 33万円
歯の変色にはいくつかの原因が考えられます。
①加齢、加齢により徐々に黄褐色へと変化していきます
②神経の有無:血液成分が歯質に入り込み変色します
③ステイン:コーヒー、ワインなどによる着色です
④ホワイトスポット:歯の表面のカルシウムがなくなり白斑ができます。初期のう蝕です
⑤遺伝:エナメル質形成不全など遺伝的要因で変色が起こります。
⑥薬剤:テトラサイクリンなどの副作用により変色が起こります。
⑦金属:金属成分が溶出することで歯が変色します
等があります。
歯の変色症においてはまず、原因をつきとめることが大切です。中にはホワイトニングなどでは対処できない症例もあります。診査診断をしっかりと行い、それにあった治療法の選択が重要なのです。
浦和駅東口、北口徒歩1分 医療法人社団幸誠会 たぼ歯科医院 理事長
歯周病学会専門医
多保学